「日常物体−接写」シリーズ 2002−2003



発表場所
中野ゼロホール(2002個展)
卒業制作展
府中ピリカギャラリー(2003個展)
横濱芸術のれん街?(2008企画)など





日常的な概念や思い込みが、ちょっとした作業で意外なものに変化してしまう。
写真で接写したり半透明な物体を暗いところで光をあてたりすると、それだけで浮世離れしたもの、よくわからない世界、名前がわからない物体になってしまいます。


例えば、コンニャクやトマトなどの日常物の概念が、どこまで接写したり、工夫をすれば、コンニャク自体を写しながらも「コンニャク」だと解からなくなってしまうのか。
そのぎりぎりの境界線のところにエロティシズムが発生するような気がするのです。


単なるボケ写真や失敗写真、明らかにわけわからない写真になってしまえば、それはそれで意味が限定されてしまうでしょう。しかしここで提示されるのは、日常的な物体をそれと判別できるか否かの至近距離で接写しているが、解りそうで解らないイメージです。ちゃんとピントが合っていて物が写っているのに、解かりそうで解からないもどかしさ。何が写っているかどうしても気になってしまうことでしょう。

それを観たひとは、その謎解きをしているうちに、自然と各自のイメージを喚起し始め、元の写っている物体との概念とは異なったイメージの世界に遊ぶことになります。いったん個人個人のイメージの世界に遊んでしまえば、元の物体が何だったかということが解かったとしても、その新しい概念に取り付かれてしまうことでしょう。
元の概念から個人個人のあらたなイメージに飛躍したとき、その人は、「境界」のエロティシズムを経験したといえるのです。







         



「みかん・光接写」写真プリント・フォトアクリル加工/2002/430㎜×530㎜      
「ピーマンに赤インク」写真プリント・フォトアクリル加工/2003/430㎜×530㎜