「絵×写真×絵」2006−2007





「絵×写真×絵」2006−2007

フタバ画廊(2007個展、2007画廊企画小品展)等





2005年の「地図に境界」以降、初期作品での媒体の写真だけでなく、ドローイング作品も多く手がけるようになりました。


コンセプトに捉われることなく自由に、そしてラフに直接的表現できる小さなサイズのドローイングを大量に制作することで、写真作品での客観性だけでなく、もう少し主観的な自分の資質・嗜好や癖を見直そうという意図も含まれていました。
ドローイングの作業は、意図通り、自分のラフな面やそぎ落としてきた資質を今一度見直せる良い機会となり、改めて自分の内的な世界にも眼を向けることとなりました。

それと同時に、これまで探求・考察・表現してきた「境界」の問題や、写真の「客観性」というものもやはり自分の中で切り離せない問題であるのではないかという気持ちも改めて意識することになりました。



結局2006年あたりは両方の要素を並行して作業していくことになるのですが、2007年に入るにつれて、両方の要素をうまく止揚できるのではないかという考えが浮かびました。
それが「絵×写真×絵」シリーズです。

それは、2005年の「地図に境界」シリーズの<自分のドローイングを写真に撮って作品にする>という技法を発展させ、<自分のドローイングを撮ってプリントしたカラー写真に、直接同じ素材を使用したドローイングを施す>というものでした。つまり、?白い紙にインクとペンでドローイングをする→?それを写真撮影する→?現像に出し、写真プリントが仕上がってくる→?その写真プリントの上に?とまったく同じインクとペンでドローイングをする という工程を経た作品です。



写真に撮ったドローイングは、実際にプリントしたカラー写真の上に直接描かれているドローイングとまったく同じ素材のインクやペンで描かれているなので、一見どこまで描かれているのかわからなかったりします。
しかも、写真というのはネガさえあればいくらでも複製可能な媒体なのに、そこの上に直接ペインティングを施すことによって、再び「オリジナル」なものに変質する面白さ!これは地図の上にシミをつけて輪郭を囲うことで変質した作品と、同一線上にある面白さかもしれません。






「写真×絵×写真」シリーズ  2007  写真プリントにインクとペンでドローイング 127?×178?