最新作「超意味絵画」



 最新作「超意味絵画」   
2010年  



完成された「意味」以前の、自分でも何であるのかよくわからないようなものを、紙とペンとドローイングという非常にベーシックで簡便な素材を使い、吐き出していく作業。それを続けるにつれて、日常における自分自身の中にも、「概念」を覆すような割り切れない感覚や、問題が沢山あることにも気づかされていきます。また、ものごとを考えてみれば考えてみるほど、なかなかどれが正しいものでどれが正しくないのか解らなくなってくる。そうすると、割り切って「これはこういうことなのです」というような明確な回答を出せなくなってくるし、信じられなくなり行き詰る。
しかし、そういう明確な回答というものだけではなく、割り切れないような、解決し切れていないような問題を、徹底的に追求している(足掻き続けている)状態「そのもの」も、実は大変魅力的なことなのではないでしょうか。


僕は最近そのような状態のことを、「超意味」というように名づけ、不定形な魅力や、境界線上にあるような感性を、即興性の高いドローイングを中心とした表現で追求していっています。


この章で紹介するのは、2010年に新しく制作した作品群です。
大判の紙に描いた作品(約110cm×800cm)「超意味形態1」、同じく大判の紙作品の4枚組みセットの作品「不定形生成?〜?」、小さな紙に描き連ねている「ドローイング集」。この作品群は、紙にインク、ペンを使用した絵画です。



また、自分のドローイングを撮影した写真プリントの上にドローイングを施した「不定形飛行連続物体」(写真4枚組み)と、地図の上にドローイングを施し、その上にフォトアクリル加工をした「皇居−境界−ディズニーランド」を紹介しました。この二作品はそれぞれ、2005年の主題である「地図に境界」(p67-75参照)、2007年の主題である「絵×写真×絵」(p55-66)の発展的な作品です。


この二作品も、写真や地図といったものを使用していますが、紙に描いた作品と同じく、不定形な魅力や、境界線上にあるような感性を表現している点では、コンセプトとしては一貫しているものと捉えることはできるでしょう。






                 





不定形生成1」ドローイング・紙(4枚組の1枚)/2010         「不定形飛行連続物体」写真プリントにドローイング/2010