実家。94年と11年の大相撲







・実家。八王子みなみ野。芝生を刈る。散歩。読書。大相撲。夕食に出た秋刀魚非常に美味。昼間の焼きそば大量。朝の豆腐に乗っかって居た茗荷が新鮮。





・94年の大相撲の画像を引っ張り出して観る。ちょうどその映像は貴乃花が29連勝で、既に横綱昇進を決め、更に2場所連続優勝をかけて結びの一番、横綱曙との対戦であった。凄まじい、息詰まる、一挙手一投足目が離せないとはこのこと、逆転に次ぐ逆転、投げの打ち合い、寄り。まさに最強の取組であった。このようなハイレベルな相撲には、近頃お目にかからない。朝青龍白鵬の一戦も凄いことはあったが、この一番にはかなわないのではないだろうか。
その前の貴ノ浪武双山武蔵丸若乃花も、攻防のある非常にハイレベルな取組であった。このころは大関が平気で12勝、13勝挙げて当たり前な時代であった。千秋楽で、貴乃花が30連勝と横綱昇進をかけた一番があるので、勿論館内は満員御礼、それもほんとうに超満員であった。暫く、大相撲のこの熱気と云うものを忘れかけていた。当時は、まさしく大相撲人気の絶頂だったのだ。今や九州場所と云えば、お客が半分も入らない日もあり、九州場所廃止論まであるけれども、こういう凄まじい人気が、当たり前のような時代があったのだ。


ちょうど大相撲放送をやっていたので、ビデオを再生したり停止したりして観比べる。2011年9月場所。まずは平日の取組とはいえ、やはり閑古鳥がないているのは寂しい限りである。そして異様に綺麗な画像の、デジタル放送。
併し、何だか画像の悪い94年のほうが、物凄く力士が大きく、迫力あっていきいきとして映っている。まさに画面からあふれ出て来るほどの躍動ぶりと云うか。まあ、人気があった時の大相撲のオ―ラが出て居ると云えばそれまでなのだが、もう少し良く見てみると、やはり少し94年の方が、クローズアップして移している割合が多い。取組中も、土俵全体を映している2011年に比べ、1994年は、土俵の両端が切れているくらいまでにクローズアップし、力士の動きに合わせてパンを微妙に動かしていることが解る。その他、カメラのちょっとした角度など、微小な差異ながらも、やはり1994年の方がこまめにカメラを動かして工夫して居る。2011年の画像の方は、全体を映しているのがそのままでリアルなんだと云わんばかりに、小さくこじんまりした構図で、あまり動きが少ない。迫力のある角度も少ない。


確かに相撲内容自体も1994年の方が今よりも断然ハイレベルであるのが判ったけれども、それよりも、やはり映し方にももう少し工夫が必要なのではないだろうか。多分ハイビジョンやデジタル放送などで、テレビの比率が横長になったことも影響しているのだろうが、もう少しそれに合わせて、ベストな構図をもう少し探してみてほしいものである。僕は、まず単純に少し大きめに撮ること、そして上から下、下から上、そして斜めから、と、多少今より角度をつけて撮った方がいいのではないかと思っている。


94年の解説は、今は亡き緒方昇さんであった。僕は彼の前の解説者であった出羽錦忠雄さんが好きだった。出羽錦に比べて、緒方さんの方は、型に嵌っている、悪く云えばちょっとマンネリな感じもあって、何となく食傷気味のような感じもしていたけれど、今聴くと、とても懐かしい。そのマンネリ気味の解説が、十何年振りかで少し聴いただけでも、やっぱり、あまりにも緒方さんで、それが物凄く大相撲中継の安心感を与えていたのだなとも思った。そして昭和の時代を色濃く表している解説でもある。昭和ならではの独特の調子、リズムがある。所謂、講談調の名調子ってやつである。たぶんその調子やリズムは、明治くらいから引きずってきたものだと思う。
その解説の下に、平成の貴乃花や曙、若乃花らが取組をしているのだから、それはそれでまた最高なシチュエーションと云うわけだ。





稀勢の里琴奨菊、6連勝。そして隠岐の海の活躍。やっと、満を持して彼らの破竹の昇進劇が現実味を帯びてきたように思う。