柳宗民の雑草ノオト




[名]:柳宗民の雑草ノオト
[作家名]: 柳宗民 文  三品隆司 画
[出版]:ちくま学芸文庫
[発行年]:2007年
[ジャンル]:エッセイ/植物記


柳宗悦の四男として生まれた宗民は、園芸研究家としてテレビ・ラジオなどで活躍した。2006年に79歳の生涯を閉じるが、これは宗民の植物に対する限りない愛情があふれんばかりに感じられる本だ。ナズナカタバミドクダミといった日常どこでも見かけるような雑草からちょっと珍しい雑草まで、文庫二ページから三ページにおさまるような短文で解説している。常に、素直で新鮮な目を持ち続けながら書いていて、読んでいて飽きないし、気持ちが良い描写だ。かつて昭和天皇は「雑草という名の植物はない」といったが、それぞれの雑草の魅力が細部まで立ち上がってくる。なかなか駆除できないような厄介な雑草ですら、それらとのいたちごっこを存分に味わい、愉しんでいる。不安なことがあったときや落ち着かなくて眠れないひととき、この本をぱらぱら開くと、何かとってもしっくりきて、すぐに眠くなるのだ。三品隆司の穏やかで上品な絵が、宗民さんの文章とマッチしている佳本。