救急車



・昨日の夜から再び非常なる悪寒、発熱。深夜二時頃より急激に危険な状態に陥り救急車を呼ぶ。人生初めて救急車にて運ばれ人生初めての点滴を受ける。非常なる高熱にも拘わらずインフルエンザ検査結果は陰性との事、但しインフルエンザだつたとしても四割は反応しないとの事。そこで脳膜炎や肺炎等の疑ひも有る為、尿・血液・レントゲン等総て検査を執り行つて貰える。結果は目出度く何れも問題無いとの事。多分インフルエンザで有る為、当分安静を命じられる。高熱に魘され乍ら救急車に乗り病院に着いてガラガラと救急医療室に運ばれて行く感触は夢現の中最大限の不安を掻き立てられる。人は劃して・・と云う気分に為り滅入る。病院に着いて点滴や注射を打たれた途端もう一刻も早く病院から脱出仕度く為る。あの点滴と云うモノをすると、牢獄に繋がれた気分で、どうやつても逃げ出せないのだと観念せざるを得なく為るのだ。其れが還って逃亡意欲を無駄にそそる。後で父親に訊くと最初は非常に厭なモノだが何遍も繰り返すと「嗚呼又か」と云う気持ちにでしか無くなるさうだ。自分の身体の何と儚い事よ。精神の何と脆弱な事よ。再び真摯な気持ちで生活を送らねば為らぬ。目出度く今日は自宅に居る事が出来る幸せ。併し此の病気は何なのだ、今はすつかり平熱で、つい先程迄の恐怖は何事も無かつたかの様に自宅のパソコンを打つて居る不思議さ。