仕事前の喫茶店



・自宅での仕事が多いときは、どうしても自らのモチベーションをあげていくためのきっかけが無いと苦しい。というわけでいつも仕事を始める前に、高円寺の上島珈琲店まで行って「黒糖ミルク珈琲」を飲みつつ、手帳に今後の予定などを考えたり本を読んだりするのだ。結構しょっちゅう行っていると、その日その日の雰囲気とかそういう微妙な違いがクリアに判ってくる。特に土日と平日の違いは一目瞭然だ。勿論土日のほうが混んでいることが多いが、かといって平日がそんなに空いているわけではなく、物理的にはそこまでは変わらないはずだが、しかし物凄く違う。土日だということを意識しないで行くと、店内に入った瞬間、一瞬にして「げっ、今日は土日だったか」という気持ちになる。
なんというか、土日は内向的なスタンスで来る客が多い。何か仕事の打ち合わせの客(編集者とか学術系が多い)、本を読む森ガール風のおねえさん。密会風の客。どうみてもつりあわないカップル。老人のネガティブな話。いつもいるちょっと変な親娘(馬面の娘はいつもピンクのフリフリな服を着ている)。劇の台本を覚えている人、脚本を作っている人、万年筆なんか持っていて如何にも文筆業な人、司法試験や資格を取るための勉強をしている人。つまり大分中央線的な、内向型変人インテリ系が多いのである。
対して土日は違う。なんかわさわさしていて、「人と話すために喫茶店に来ている」人たちが主流になる。雰囲気は明るく、気が拡散する。何かみんな外向的にリラックスしていて健全なのである。しかし何か考え事をするにはこの雰囲気ではどうにもならない。しかし他の喫茶店ももっと混んでいるし、どうしても土日に何か家でやらなければいけない時には上島珈琲店に行かざるを得ないのである。


・しかし何故いつも上島珈琲店に行くのだろうかという疑問には、すんなり答えられる。まず「黒糖ミルク珈琲」の味が宜しい。高いが、椿屋珈琲のように馬鹿高くはなく、日常的にまあ行けるくらいの値段である。椅子のすわり心地や人との距離感、照明などが集中するのに適している。土日以外は特になんだかんだで目的が似ていそうな人が来ていて落ち着く。シンプルでニュートラルである。ジャズの選曲がクラシカルで無難で悪くない。混みすぎず、空きすぎもしていない。しかし、休日な気分や遊びとしては、勿論別の喫茶店を択ぶ。