梅雨の晴れ間




・絵を描く。大画面に油絵、しかも具象を描くと云うのは何年振りだろう。きのうあたりまではいろいろ戸惑っていて滞っていたが、Mのひとことで、啓けた気がする。


・朝や昼まで、なんだかんだ考えていて書き留めておこうとしたことがあったような気がするのだけれど、いまはトンと思いだせない。書こうと思っても、頭がまっさらな状態である。ただ、そういう時は調子は悪くない。



・飛鳥井雅通の『坂本龍馬 幕末の自由精神』を読む。幕末の状況が非常によく描き出されており、推測も綿密で、興味深い書である。あまり他のを読んでいないのでハッキリしたことは云えないけれど、数ある龍馬の本のなかでも筆頭に挙げられる書ではないだろうか。たしか講談社学術文庫にもなっていた。これを読んでいると前回大河ドラマの『龍馬伝』がかなり時代考証を頑張っていたことがわかる。ただ、どうしても武市瑞山の顔を、大森南朋で想定しながら読んでしまうのが気になってしまう。(どうも、ドラマのなかでも、いろんな本のなかでも、武市を好きになったことがない。)
同じく飛鳥井雅通の著作である『明治大帝』も(個人的に好きな大正天皇に冷淡なのが気になったが。僕は原武史の『大正天皇』評が好きだなあ。)、好著だった。天子から天皇へ。伊藤博文によって、機構にうまく当て嵌められていき、カリスマに祭り上げられていく過程が真に迫って考察されている。そのなかで明治帝は静かな(親政への)挫折を経験する。
近代の大相撲の成立過程と併せて読んでも、とても興味深かった。明治に入って、積極的にリデザインされて、元から存在しながらも、新たに「成立」したものとして。