今日の出来事、サドルと月




・新しい仕事が増えることが決まった。塾講師。早速月曜日研修に行くのだが、どうなるか。決まったからにはぼちぼちやってくべ。


ブックオフベローチェ、三時間程度副職、副職の間ラジオで大相撲を聴く。高見盛は元気なし、一勝六敗。十両陥落も見えて来てしまっている。琴奨菊、何とか大関になってくれ。
舞の海ほど、ひとりひとりの力士の気持ちを考え予想し分析して、相撲を取った力士も居ないのではないかと、彼の解説を聴いていて、ふと思う。レギュラーの大相撲解説は、よっぽど常に人間観察を逞しくしている人でなければ勤まらないだろう。北の富士の解説は、あれは余りに色々遊び尽くしたところから出ている、色気が含まれている人間観察だ。そこから大相撲の力士の観察や分析にまで繋げられていると云うところだけでも、やはり一流だろう。ただ、玉の海梅吉の解説は、さぞかし凄かったんだろうなと、半藤一利氏の『大相撲こてんごてん』を読んで思う。


・帰宅後洗濯を畳み、部屋を片付け、風呂に入り、ブログを打つ。OTから貰った、シュナ―ベル弾くベートーヴェンピアノソナタや、矢代秋雄などを聴く。





・そう云えば昨日書き忘れたのだけれど、自転車のサドルを盗まれると云うことがあった。キチンと駐輪場に停めていたにもかかわらず見事にやられた。大学の授業を終えて夜、戻ると、なんと、自転車のサドルだけが無くなって居る。思わず目を疑い、周囲を見渡して落ちていないかどうか確認するが、落ちていない。数ある自転車の海の中、僕の自転車の「サドル」だけが、ない。非常にシュールな光景である。呆然としていてばかりでは仕方ないので、とりあえず料金を入れてロックを外し、サドルがないまま取り出して、警察に向かう。何だか自転車がいやに軽くふわふわした感触だ。それにずっと立ちこぎと云うのも、勿論ヘンな感じであるし、周囲の視線もいちいち気になる。図らずもパフォーマンスをしているみたいになってしまった。併し妙なもので二三分乗って居ると、馴れて来るものだ。と、そうこうしているうちに警察に着く。「あの、実は自転車のサドルをとられたみたいなんですけど。」「こんなことってしょっちゅうあるんですか?」と訊いてみる。
すると、「いやー、あんまりないねえ。それは・・。」と言葉に詰まりつつも、何だか苦笑いと云うかそんな表情を浮かべる警官であった。
「で、盗難届を出すにしても、色とか形状とか憶えていないよね?」・・・おお!そうだ。そんなことなんて云われるまでとんと気付かなかった。「茶色か黒?・・・まあだいたいその二つしかねえよなあ。」
「いやあ・・・うーん、茶色じゃなかったようなきがするんですよ。たぶん黒だったような・・・」「まあ、わかんねえよな。んじゃあ、サドルが見つかったら、とりあえず連絡はするよ。」「お願いします。」
と云うわけで、サドルはその後も当然見つかる筈がなく、仕方ないので自転車屋に行って、新しいのを買い込む。三千四百五十円もする。自転車屋に訊くと、珍しいことではないと云われる。穢くなったり、破れて雨が沁み込むようになったサドルを、別の人のものに移し替える輩が居るらしい。そうすると、じゅんぐりでどんどん変わっていくと云うこともあるらしい。まるで椅子取りゲームのような感じだ。
併し、改めてサドルを観てみると、美しい形態である。やはり三千四百五十円もするかなと思う。天下のブリジストンのだし。デュシャンのように其の儘オブジェとして、飾っておきたくなった。




・毎日、刺すように冴えて射し込む月の光が余りに眩しい。




・購入:
『芥川・堀・立原の文学と生』 中村真一郎 新潮選書
眺めのいい部屋』 E.M.フォスター 西崎憲・中島朋子訳 ちくま文庫
『大相撲こてんごてん』 半藤一利 文春文庫
『シカゴ育ち』 スチュアート・ダイべック 柴田元幸訳 白水Uブックス
『偶然録』 川田順 弘文社
『鷲』 川田順 創元社
『國初聖蹟歌』 川田順 甲鳥書林