武田倫子展、坪井麻衣子展






・だいぶ仕事の方はペースが掴めてきたので、仕事前に友人たちの個展に行く。ギャラリーQでやっている武田倫子展とギャラリーSOLでやっている坪井麻衣子展である。対照的な性格?で仲良しのふたりが、図らずも(図らずも、なのかな)おなじ週で個展をしているというのも興味深い。



武田氏はいつもの通り?大画面の方が気合いが入っているようだった。その方が気質にあって居るのだろうか。小さい画面になると、明らかにテンションが下がってしまうのはどうしてなのだろう。F100号とか200号といった、大きな作品はときとして身体を包んでくるような色彩の煌めきを感じるのだが、小さな作品になるとそれがなくなり、しかもちょっと雑になってしまうのである。
ただし、中くらいのおおきさの、子供が公園に設置されている遊具で遊んでいる絵と、それよりも大きい紫色の鏡が描かれた、ちょっと真夏の都市伝説っぽい絵は、新鮮な感覚で観る事が出来た。今までの、光シリーズとはまた違うけれども、やはり武田氏らしいモチーフの選択と、色遣いと、筆致であった。
端的に云ってしまえば、サバサバしていておおざっぱ、そしてちょっとあまりに率直かつ単純にすらみえてしまいがちで、都市伝説のくせにちっとも怖くないのだ。ホラーっぽい題材を扱っているくせに、どことなくおっちょこちょいでせっかちな雰囲気まである。でも、へんににくめないというか。ライトでチープでドライな、だけどあたたかくてひとなつっこくもある、ちょっとした都市伝説ぽい感じの絵。そう云う絵もたまには悪くないかもと思わせる。
http://www.galleryq.info/exhibition_now/exhibition_now.html



坪井氏の絵は、いつもながら細かいところを観れば観るほど坪井ワールドに惹き入れられる。全てモチーフ、構図、色調、ちょっとした筆の使い方や塗り方、混色の仕方、キャンバス地の択び方、キャンバスの形、大きさ。ひとつひとつの絵ごとに、全てにたいして彼女の気持ちがしっかりと丁寧に入って居る。モチーフは、いつも風景が主体なのだが、今回はいつもにもまして風景が主であった。現実の風景と夢のなかの風景と、抽象的なリズムが程良くブレンドされており、ひとつひとつの絵の中で其れが変奏されて居る。ひとつひとつの画面の中にしっくりおさまっている。
こじんまりして居て、世界がひとつひとつの絵の中で閉じて居る。暗がりで蛍光灯の点いた熱帯魚水槽をみているような、水晶玉の中に浮かんでくる世界のような、そう云う浮遊感と心地よさがある。それでいて、空間の拡がりも感じる事が出来る作品もある。みんな佳品と云ってもいい程夫々じんわりとした魅力が伝わる絵たちなのだが、そのなかでも一番大きな絵は夜空の紺色がやけに冴えていて、ほのぼのだけではない、凛としたものも漂っていた。
ちょっとした、自分だけのとっておきの幸せってかんじ。いいよね。寝る前に白熱灯を点けて本を読んだりしながら、まどろんじゃっているような感覚。
http://maikotsuboi.blog71.fc2.com/
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/INFORMATION/INFORMATION.htm