日曜日、大河ドラマ平清盛評






・日曜日。このところ二週間にいっぺんは実家に帰るようにしている。レオン・バッティスタ・アルベルティの『絵画論』『芸術論』、出原栄一・吉田武夫・渥美浩章の『図の体系』、美術手帖を何冊か持ち帰る。





・夜、大河ドラマ平清盛上皇天皇平氏、源氏、藤原摂関家、新興貴族、海賊・・・等、色々な「立場」の人が夫々の立場からの思惑で行動し、火花を散らし、発言し、凌ぎ合い、絡み合い、縺れながら進行していく。誰一人として画一的な善玉悪玉と云う「単純」な勧善懲悪主義にならないような人物描写がとてもこのドラマを面白くしている。誰でも生を享けて背景を得、その立場から思考を拡げていく。何十年も生きるからには誰でも汚れ、そして輝くときは存在するのだ。同一人物でも相矛盾する要素を孕み抱えながら苦慮して生きているわけであって、強さと同時に弱さも抱えている。どんなに高貴な生れであれ貧しい生れであれ、それぞれの生を享けた背景から立場を得て生きていくしかなく、どの階級だから楽であると云うふうに単純に云える筈はない。ただひたすらそれぞれがそれぞれ、じぶんの置かれている立場を上昇させようと試みている。(ただその描き出し方が露骨すぎると云えばそこが欠点にもなりうるかもしれないが)

平安時代のこのあたりのそれぞれの階級の微妙な立場は複雑で判りにくく、さらには登場人物も幕末や戦国に比べ圧倒的に知名度もない。なかなかこれを面白いドラマにするのは難しいだろうが、それを逆手に取って魅力に出来て居るところが好感を持てるのだろう。「王家」騒動や「汚い画面」問題、「正確ではない時代考証」・・・などなどどうしようもなくケツの穴が小さいチンケな批判を良くきくが、キレイ事にしてしまうのではなく、どんどん冒険していってほしいと思う。
まだまだ最初のほうだと云う事もあるし、朝ドラのカーネーションの傑作さ深さ繊細さには勿論及んでいないと思うが、期待もてるドラマだと思う。





・「版画」に就いてつらつらと考える。


・月曜日、朝父と散歩。昼カーネーションを観た後荻窪へ。夕方南行徳。夜読書。夜、急に冷え込む。いとこと川越で択んだNAKAYAMAの青い紅茶カップを割ってしまった。いちばん好きなのだっただけに、物凄くショック。なんとかリメイクした作品など創れないものだろうかと考える。深夜、グールド弾くバッハのパルティ―タを聴きながら阿部良雄を読む。やはり寒い。






・購入
キケロー伝の試み』―キケローとその時代― 角田幸彦著 北樹出版
CD[マックス・レ―ガ―]<クラリネットとピアノのためのソナタ> SEIKI SHINOHE,Klarinette JONATHAN ALDER,Klavier