抜粋



クワイン・イエイツ「愛情飢饉」より抜粋



・・・きみは、実は、やさし過ぎるんだ。やさし過ぎて、やさしいことが義務になって、やさしくしなければと思い、やさしくしたからにはと相手の細かいところが気になってきて、どうしても完璧な恋なんかできなくなる。そんな完璧な恋なんかないって知りながらさ、やっぱりだめなんだ。そんなとき、じぶんが至らないのではとか責めてみるけれども、じぶんを責めてみればみるほど相手のことはさらに嫌いになり、愛そうとしたぶんだけ、相手の嫌いな部分が、ほんのすこしの欠点が、まさしく汚らしく見えるのだね。きみは真面目だし、潔癖だし、そして理想主義者だから、それががまんならない。だからきみはスイッチをきる。割り切るしかないってことだ。つまり、冷たくするんだろ?・・・僕は知ってるよ、きみは、世界一やさしい素質をもった人間だってね!