久しぶりの銀座



・久しぶりに時間が出来て、ようやく昔の職場である銀座に出向いた。もはや僕の勤めていた画廊はないのだけれど、一回だけだけど個展をしたギャラリー58などは健在だし、知り合いである安倍千尋さんがグループ展を羅針盤でやっていたので観にいってきた。安倍さんの作品は、自分の好きなことを純粋に、ピンポイントに拘って追求しているので、みていて気持ちがいいし、ずっと鑑賞できる。繊細なだけに、眼が慣れるまではなかなか時間がかかるけれど、あぶり出しのように、じわじわっと世界が立ち現れてくるような感覚が心地良い。


・現代美術の画廊の、老舗中の老舗と謳われたギャラリー山口のオーナーの訃報と閉廊を知る。画廊に勤めている時、いろいろとやり取りをさせて頂いた。あのやり手ぶりが懐かしく思われる。と同時に、昔からの銀座の「貸し画廊」という形態が本格的な衰退を辿っていることを直に感じさせる出来事だ。ギャラリー21プラス葉の銀座撤退、フタバ画廊、村松画廊の閉廊、そして今回のギャラリー山口。時代は容赦ないしえげつない。
今一度、「貸し画廊/商業画廊/企画」の功罪と意味について考え直してみて、新たな形態を探る時期が来ているのではないだろうか。アートフェアも細分化・常習化してしまっている今こそ。