『東京の地霊』



鈴木博之『東京の地霊』を買って読む。とくに、丁度このあいだ風景画教室で行った清水谷公園と大久保利通暗殺事件の場所についての、あの土地にまつわる「地霊(=ゲニウス・ロキ)」を探っていく章があって、すごくピンポイントで興味深く読めた。地霊とは、石山修武の解説によれば、「時を経ても消えることのない歴史・記憶の堆積」であり、「それは、土地に結びついた連想性と可能性を生み、その可能性の軌跡が都市をつくり出していく。」
紀尾井町(清水谷公園)の他に、護国寺や上野公園、新宿御苑、椿山荘、目黒、本郷、深沢、広尾など興味深く、気になっていた土地ばかりの「地霊」を様々な資料から読み解いていく。少々こじつけのきらいもなくはないけれども、散歩好き、地理・地図好き、歴史好き、東京好きにはたまらない。そしてほんの若干のオカルティズム的なスパイスが加わって、非常に愉しく読むことが出来た。詳細のレビューはまた後日。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480092014/



・文章を書くと、あれもこれも詰め込みたくなるけれども、限られた字数の中でひとまとまりの作品としてある程度纏めるにはどうしても筋を重視しなくては、面白くなりにくい。かといって、カットしすぎたり纏めすぎたりしても、詰まんなくなる。このバランスに一番気を遣う。