大相撲SP



・昼間、夕方にかけて五時間弱、制作。夜、二時間ほど、制作。



・夜、テレ東の相撲特番「昭和・平成の興奮再び 大相撲100番名勝負!!人気力士が大集合SP」を観る。なんでも三時間半にわたって大相撲の特番を民放がやるというので、もう少し制作に集中したかったのだが、みることにする。



・今年散々だった大相撲界、危うくつぶれそうなところまで追い込まれ、イメージダウンもイメージダウンだった大相撲を、何とかして今一度魅力を知ってもらいたいという協会が全面的に協力して、急遽成り立った、という感じの番組であった。
何せ協会側は、理事長の放駒魁傑を筆頭に、九重千代の富士友綱魁輝まで幹部が出演し、横綱大関陣(途中休場した日馬富士を除く)、高見盛、という、気合の入れぶりである。おそらく貴重映像なども協会が必死になってNHKに頼み込んだのか、珍手等かなりの名場面をそろえることができたのではないだろうか。特に昔の映像などは、昔のアナウンサーが解説しているそのままのものがおおかったし、一番いい角度で映している画像もあった。画像の揃え方や編集は、民放にしてはかなりがんばったほうではないだろうか。


・しかしながらこの番組は、如何にも「急遽」つくられましたというようなところが随所に見受けられてしまい、混迷している相撲協会のあせりぶりと、制作側のテレ東?のいまいち中途半端なモチベーションやスタンスが顕在化してしまったともいえる。最初のほうの、お蔵だし的な、名勝負や珍決まり手勝負、白鵬の六十三連勝の編集までは、なかなかいいところまでついていたのだが、後半の貴ノ花物語や若手イケメンの紹介などはかなりおざなりな作り。まず、貴ノ花若乃花を演じる俳優?がひどくカッコ悪い。弱い力士を使っているのだろうが、これでは名力士人気力士の二人にたいしてあんまりだ。話のメインは、貴ノ花が病気の子供にサインをを送り、励まし、それに対して子供が病気とよく闘った、という物語なのだが、結局貴ノ花は子供に一度も会うこともなく、子供は亡くなってしまい、結局サインや最低限の手紙もしくは励ましくらいしか送っていないで終わってしまう。当時絶大な人気を博した貴ノ花であるから、それくらいのファンはたくさん居ただろうし、結局最後まで会わなかったのに、それをわざわざここでとりあげる逸話や物語に仕立てるのはさすがに無理がある。それだったら無理して貴ノ花の特集などやらずに、もう少し説得力がある、それこそほんとうに驚くような「逸話」を掘り出したほうがよかっただろう。
そして各歴代イケメン力士の一位を決めるのに、なぜか巣鴨のおばあさん達百人に訊く。これは少なくとも十一月場所にてもっと本格的にアンケートをとるなりなんなりしたほうがよかったのだろうが、これも多分即興でくっつけた企画だったから、間に合わずに苦し紛れに巣鴨にしたとしか思えない。その他随所に、おざなり感があったのは残念であった。三時間半もとるのであれば、もう少し事前にきちんと準備できなかったのだろうか。


・また、珍場面として、異常な張り手や待ったの繰り返し、行司が力士にぶつかり土俵下に落下して軍配を出せなかったことなど、協会がもっとも嫌うだろうことが面白おかしくとりあげられて強調されていた。もちろん面白いことは面白いけれども、少し強調しすぎの感があって、相撲のイメージ向上のためにはもう少し考えようがあったのではないかと思う。また、白鵬のガッツポーズなどが映されてしまったり、つつけば粗がどんどん出てきてしまうような構成であって、大相撲の再起、イメージ向上のためには配慮がなさすぎるのも残念。




結論を云えば、低予算でおざなりに作った感が丸出しである(最初の珍決まり手などの蔵出し映像以外)。もう少し制作側も協会側も、しっかり話し合って、準備して、それこそもう少し「品格」のある番組にしてほしかったなあ。せっかく三時間半もとって、理事長まで投入しているんだし。そういえば、協会側のメンバーから比べると、タレントや司会があまりに見劣りするのが、制作側の微妙にやる気のない感じが伝わってきて、やるせない。