今年の仕事終わる








・黒川直樹×山本浩生 フォト・コラボレーションブログ 「日常写真」UP!!
http://blog.livedoor.jp/yamamomomo5371/




・今年度の仕事が全て終わった。昼間南行徳の喫茶店に行くと、やはりさすがに三十日と云う感じの、いつもとはちがった、なんとなくそわそわとしたようなものが漂っていた。
クリスマスと正月の間の、宙ぶらりんのまま忙しなく、でも日常で、しかしどこか休日っぽいような感覚まである、なんとなく落ち着かない気分。クリスマスまではどこの店も迷うことなくクリスマスソングを択び、そして正月は正月らしい三味線や琴などの音が流れる。しかしこの何日間は、どのサウンドを択んでいいかよく判らないし、音楽なんてどうでもいいけれど、とりあえず流さなければいけないからかけてみて居ると云うような、そんな中途半端な音楽が流れる。
無難な選曲とはなにかと云うのを、どの店も中途半端に「考えざるをえない」週なのだ。かえってその頼りなさげな選曲が、店の素の顔が出ていることがあって、少しほっと嬉しくなる。


・そして家に帰って、やっと明日のための予習をしなくて良い時間ができたので写真倉庫をUPし、そしてクセナキスを存分に聴いている。限りなく快感に、そして自然に耳に入ってくる。
プワ―んプワんきゅいっきゅいきゅいっと。




月面の宇宙基地の裏庭の、生い茂って居る金属質な雑草をダイヤモンドの鎌で刈り取りつつ進むと、きゅうに視界が拓けて、「地球の出」を見ることができた。それは荘厳で偉大な、併しどこか地に足の付いていないような非現実的な風景であった。地球が昇るのをみるなんて、やっぱりナンセンスなのだ。でもそのナンセンスさと荘厳さの同居がたまらなく心が金属で磨かれていくようで心地よい。併しその時急激な寒気と猛烈な砂嵐が彼方からやってくるとも同時にみえてきたので、急いで基地に戻り、ドアを閉めた途端砂嵐が基地全体を覆い、凄まじい音をたてながら揺さぶる。暫くすると、その砂嵐は彼方に去っていった、西北東に。
そのあとにはちりちりした細かい塵が地球に照らされてあらゆる方向にきらきらと輝いていて、それはそれは綺麗で、思わず眼が潰れそうになるくらいだ。眩暈をおこしそうになって暫く窓辺に佇んでいると、直径十メートルもあろうかと思われるシャボン玉の行列が、ぽーんぽーんと地上をやわらかくはねながら移動中である。一瞬目を疑うが、相変わらずそのどでかいシャボン玉の行列は、規則正しく、ゆっくりと、月面上を、ぽわーん、ぽわーん、と、進んでいた。ひたすら、西に。