人工楽園的、絨毯の上、布団の下。




・今日は朝から穏やかな気持ちで、それが今まで持続している。朝ベローチェで本を読み、これからの計画をゆっくり立て、珈琲を飲み、太陽のトマト麺で鶏パイタン麺を食す。制作もして、大相撲も観て、夕食のパスタも作り、其処にホウレン草を入れる。冬は多少おいておいても腐らないので楽だ。お茶を淹れ、部屋を暖色系の明りにし、草花に水をやる。ぼちぼち音楽を聴こうと云う気分になりつつある。絨毯も点き暖房も点いている。六畳の部屋に閉じこもる。冬の独りの愉しみ。
今年の寒さはことのほか厳しい。容赦がない。日本中のそこかしこにさかしまのような、人工楽園が現出されているのであろう。



・冬の内向的モードのスタイルが完成し、本格的にこれからスタートの気配である。
9日まで予備校が毎日のようにあり、非常なる緊張感をもってミニマルな思考と規則正しい生活を続けて居たが、10日以降はうってかわって専門学校も大学もない期間のため突然十分な時間ができた。
そう云う期間は「自分」が所在なくなってしまうところがあって、非常に苦しいことがままある。何故ならば、忙しい時期はその「自分」を押し殺していた為だ。急に生活スタイルが変わると、その「自分」のベクトルも変わっていく筈なのだが、その移行がなかなか上手くいかないと云うことなのだ。外向的な生活から内向的な生活にシフトするにはやはり十日間はかかると云う事だろう。また、そう云う時に自分の金銭的な事情などを考えて慄然としたりするのも動揺の原因のひとつでもある。兎に角むやみやたらと気ばかり焦り、実行できないことに、また焦ると云う悪循環である。
そう云う時には人間関係のこともネガティブに考え過ぎたり執着しすぎたり、嫌な考えが頭にこびりつく。然もそこで寂しがり屋の気性が出ると、どうしようもなくやるせなくなってくる。そう云う時に限って誰に連絡しても留守電だったり返事が遅かったりする。また頭がおかしくなる。気にならない時は全く気にならないし、実際全然問題ないものだが、頭で判って居てもどうしても苦しくなる。これは私の中での大きな弱点のひとつであると思う。
併し、何日かするとこのようなことは決まって喉元過ぎれば熱さを忘れたように考えなくなるし、楽になるし、独りの愉しみを十全に愉しみだす。すると今度は人にあうのも朝起きて仕事に行くにも億劫になって来る。これはこれで大変だが、外向的なものが内向的になるときに比べたら十倍くらい楽である。一日か二日我慢すれば、そういった気持ちにシフトすることができる。


・そう云えば、外向的な時の日記は、殆ど事実の羅列に終始し、気持ちの移ろいやなんやかやそう云う事は書かなくなるし、思い浮かびもしなくなる。書こうと思っても書けなくなる。


・決定的な処方箋は、ほかでもない、「制作」なのである。



・購入
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