秋空のような梅雨の空









・この二日ばかり、非常にカラッとして良い天気が続いた。日中も暑くなりすぎず適度に爽やかな風が吹き抜け、宛ら秋のような趣である。ここにきて身体も相当疲れがとれてきたようで、色々動けるようになってきたような気がする。


・火曜日。専門学校の一年生は、「想像画」を描いて居る。この課題はモチーフを観ながらではないので、だいぶじぶんなりに心行くまで鉛筆を動かすことができる。従って、鉛筆と云う素材に慣れるのにはもってこいの課題であると自負して居る。それにじぶんの想像力を十全に表現できるまたとない機会であるから、学生のモチベーションも毎年概して高い。この課題を機に一気に鉛筆の扱いをマスターし、静物等の他の課題も上達したケースも散見される。そしてまっさらな処から自ら「世界」を構築していくのであるから、構成力も否応なく試される。自由と云うのは意外と難しいものなのだ。こう云う課題をやると、色々な縛りの多い課題を与えられたものをこなすのが得意なひとと、縛りの少ない課題のほうが魚が水を得たように活き活きと表現するひととのベクトルの違いが明瞭に出る。いずれにしても美術をやるにも何をやるにも、そのベクトルは両方鍛えていかねばなるまい。
専門学校や大学の授業(風景画教室や絵画教室等も含めてもよい)を行っていると、只管教える事に集中するので頭が整理され、私の精神状態にも好影響を齎す事が多い。まあ、週一回ペースなのでかえってその周期もよいのかもしれない。仕事としてはもう少し入っていると金銭的には勿論楽であるのだが。



・気にして居るひとからの返信が来ると云うことはこんなに嬉しいものかと、そう云う事態に遭遇するといつもそう思う。それまでは気が気でならず、身体まで不調な気がして、気もそぞろ、仕事にも影響が出るのではと危惧するくらいであるが、返信が来たとたんに憑き物が取れた如く身体が楽になる。併し、メールや電話と云うのは相手の顔や声等が見えない分妄想が働きやすいものだ。それはfacebooktwitter等にも云える事であり、それが実際に誤解を招いてしまい良くない結果も当然生むが、じゅうぶんに腰を据えてそのじぶんの妄想に振り回されなければ、その「ずれ」を愉しみ思考力想像力を鍛える良い機会にも成り得る。異世界異次元のずれに「人間」と云うものが現れる。・・・等と今日は気候も良いし実に気分よく書いているけれど、また何かで、屹度、不安になるのだろうなあ。






・購入
ノヴァーリス作品集3』 今泉文子訳 ちくま文庫
『日本異界絵巻』 小松和彦宮田登鎌田東二南伸坊 ちくま文庫
『能の物語』 白洲正子 講談社文芸文庫
『総特集=精神分裂病』文明のなかの人間存在 現代思想臨時増刊号vol.3-9 青土社