誠実さ



・誠実さとは何か。よく絵画を教えているとき、「もう少しこういうようにしてみたらリアルに見えるんじゃないの?」と云うと、「観たまま描いたんだけど。」という答えが返ってくることがままある。しかし、画面でリアルに見えなければどうしようもない。誠実といっても、ただ馬鹿正直ではだめということで、事実を効率的に魅力的に見せることはやはり必要なのだ。三次元を二次元に置き換えるのだから、やはり二次元には二次元のリアルに見え方と云うのがあるわけで。それは文章にも云えることであると思った。
事実よりも、多少不誠実じゃないかと思われるくらいある意味限定させたり、事実を事実のみで語るのではなく、どこかで極端に妄想を膨らましたり、何かを操作することで、やっと相手に何かが伝わるということもある。しかしあまりそれをやりすぎると、やっぱり不誠実だといわれる・・・。



パスカル瞑想録−パンセ−より抜粋
・―「まあなんてぐあいのよい靴でしょう!なんてじょうずな職人でしょう!なんていさましい兵士でしょう!」ここにわれわれの好ききらいや、職業をえらぶもとがある。
「あれはなんという酒豪だろう!これはなんという節酒家だろう!」これが人々を酒豪や節酒家にも、兵士や、臆病者にもさせるものだ。

・他のあらゆる才能を規定する主要な才能。

・われわれは事物を、ちがった面から見るだけでなく、べつの目で見る。それらを同様に見ようとしない。

・―人間は、生来、信じやすくて疑いぶかく、小心であってだいたんである。

・実物にはいっこう感心しないのに、それが絵になると、似ているといって感心する。絵というものはなんとむなしいものだろう。

・著作するとき、人が気づく最後のことは、何を最初におくべきかを知ることである。