代表選






民主党代表選、野田に決まる。土曜日日曜日と、テレビやラジオで五人の候補者の演説を聴いていたのだが、小沢とか世論とか抜きにして、群を抜いて野田の演説に重さがあった。
安易な理想論や希望論を語るのではなく、現実に立脚してまずは「事実」をみつめて、其処から無理なく演繹的に結論が導き出されてくるような持っていき方だった。芯のぶれない喋り方であった。
「地味」だが地に足がついていて手堅そうと云われる風貌と相俟って、議論していけばいくほど野田の安定ぶりが際立っていくようだった。



逆に海江田は喋れば喋るほど墓穴をほるようなかたちになっていて、素人目に見ても、傀儡すらつとめられないのではないかと思われるくらいの頼りなさであった。藤原帰一らに詰め寄られて、返答に窮する場面も何度も見受けられた。小沢云々以前の問題であった。そもそも、「傀儡」にして操作しようと思ったにせよよりによってここまで明らかに実力ない候補者を推薦するなんて、小沢も堕ちたものだ。
前原は、何故かあまり多くを喋ることなく、むしろ最年長の鹿野のほうが気持ちよく語っているようであった。矢張り献金問題の不安があるにも関わらずやむを得ずひっぱりだされたかたちであり、準備不足と云う感じにも見えた。結局野田の用意周到ぶりと安定ぶりだけが際立っていた。なるべくしてなったのだと思う。


何れにせよ、民主党はもちろん、自民党も国民ももう少し自国の首相を批判して潰すだけではなく、盛りたてていくべきではないのだろうか。今回は野田だったが、菅だろうが前原だろうが仮に海江田になったって、特にこう云う時はもう少し自国の「首相」を信頼してみたらいいのではないか。こんなに首相がころころ変わるのは、当人ばかりの問題ではない気がする。せめて民主党は首相が至らなかったのであれば必死になってサポートして、育てなければ。








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