≪8・1/2≫




・≪8・1/2≫は、画面からはみ出したり出ていったりするような、意図的に「枠」からはみ出ることを積極的に利用して居る。かなりわけのわからない映画であるのにもかかわらず非常に親しみやすくキャッチーで飽きさせない。なんとなく愉しくみてしまうのである。その驚異的な滑らかさは、ひとつひとつの場面を「枠」にあてはめずに積極的にみるものを空間に抱き込むからだろう。夢だか現だか病気だか正常だか仕事だかプライベートだかどれが恋人だか妻だか愛して居るのかいないのか映画ができるのか出来ないのか何がいい映画なのか悪いのか何が本気でそうじゃないのか幸福なのか地獄なのか全てごった煮のシャッフルな祝祭の喧噪の中に、主人公は組み込まれ引き裂かれている。時間の自然な流れとニーノ・ロータによる音楽のなかでそれはわけのわかんないままなし崩しに進行していく。人生って・・・。
映画を創る人が映画に呑みこまれる映画を創るフェリーニの映画。其処に在るのはイメージの源泉の錯綜と関係の、抽象的なエスプレッソである。



・月曜日、南行徳。朝から雨。身体が重く、仕事に行くまで家で殆ど何もせず。カーネーションをみる。今日から尾野真千子から夏木マリへ。見事に今までの仲間を死なせたのには吃驚した。綺麗さっぱりにしてはいけないところを綺麗さっぱりにしすぎていないかと思う。これもそれもやはり尾野真千子から夏木マリに移行するにあたって、どうみても年齢や雰囲気に釣り合うのが難しいからだろうが、たった10年で見事に全員死んでしまうのはどう考えても不自然である(おばあさんや組合長であれば仕方ないが)。やはりカーネーション尾野真千子あってのカーネーションだったのではと云うことを再認識しそうになるが、もう少し様子をみてみよう。。。
とはいえ、夏木マリの演技は決して悪いというわけではなさそうだが、さすがにこの移行では可哀そうであると思うくらいだ。そんな中で、1カ月、どう持っていくことができるか。先週の尾野真千子出演の最後のシーンは、もう最終回のようなクオリティーで殆ど完結してしまったと云っていいくらいだったが、それを再びどう盛り上げて、どう完結させられるか・・・矢張り、夏木にはあまりに過酷ではないのか?と思ってしまうけれども、どうであろう。




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重臣たちの昭和史』上下 勝田龍夫 文春文庫
『日本の下層社会』 横山源之助著 岩波文庫
『自叙伝の試み』 和辻哲郎 中公文庫
フーコーそして/あるいはドゥルーズ』 フーコードゥルーズ 蓮實重彦訳 エパーヴ5