深夜の≪愛の世紀≫





南行徳。『線の音楽』とデュシャン。家に帰ってゴダールの≪愛の世紀≫を観る。昨日観た映画の構成とはうってかわって言葉がいくつもの繋がりをつくり、思考を拡げていく。画面の構図もかならずどこか外し、一筋縄ではなく、少しずつずれている。沸々とした怒りが断片的に挿入されて、その怒りはしかし詩的に哲学的に断片となってゆっくりと思考をひりひりさせる。ここちよくしっくりさせることを拒絶するわりには随所にはさまれるあの音楽でしっくりさせられる。怒り、憎しみ、だがそれもすべては感情なのだ。限りない感情と思考と、沈潜。皮肉。併しながらやはり愛なのである。愛憎の愛。つまりは。するめのような映画である。拒絶しているのに、態々表現して居るなんて。あのここちわるさが心地良いと云うか。きのうの映画は、とにかく心地よかったけど、きょうのは、とっても心地よくなさげなでもするめ味。あの色彩は、ブラームスの低音だな。ブラームスが似合う。ブラームスを聴こう。bと話したくなる。



・真夜中に書くメール。薄明かりのあかい光のもとでかちゃかちゃと打っていると、紡ぎだされてくることば、ときにはそれが思いもよらないかたちで出てきたりする。昼間では絶対書けないような表現にもなる。それをいやがるひともいるが(もちろん公的なメールはあまり深夜に送らない方がいいだろう。別れ話なんかは夜するものではない)。結局このブログなんて云うのは「特に」恥さらしもよいところなのです。直観―理性―直観と云うのがもし僕にも当て嵌まるとすれば、特にさいしょの直観の部分で出してしまっている部分が多いからです。





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